計算論的システムリハビリテーション
本
研究では,リハビリテーションに関する様々な分野の知見を取り込みながら,情報技術,計測技術,通信技術,ロボット技術,システム化技術,知能化技術など
を用いた「計算論的システムリハビリテーション」という枠組みを提案しています.ここでは,上肢運動計測システムや視線計測システムなどを構築し,リハビ
リテーションにおける経時的な回復などを定性的,かつ,定量的に評価を行うための方法論を提案しています.
3次元動作計測
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本研究では,高次脳機能障害である片麻痺患者を対象としたリハビリテーション評価支援のために,動作解析のための計測および可視化手法を提案することを目
的とする.具体的には,計測システムを用いてリハビリテーション前の患者の動作とリハビリテーション後の患者の動作のデータを計測し,そのデータから関節
角度を取得するための方法論を提案する.
さらに,リハビリテーションを行ったことによって,どれだけ上肢の動作の動きや可動域が変化したか,人間モデルを用いることによって示すことを目的とす
る.また,従来用いられている動作解析システムは非常に高価なため,本研究では安価で設置が容易なMicrosoft社製のKinectセンサを用いる
本研究では,既製の類似センサと比べはるかに安価で,かつ容易にマーカーレスのモーションキャプチャを用いることが可能になったKinectセンサを適用
したシステムを構築する.
Kinectセンサの関節自動検出機能により計測された関節座標は,患者のとる姿勢により,誤差が大きくなるため,これらのノイズを考慮しなければならな
い.本研究では,上記の問題を解決するため,あらかじめリンク長を定義した人間モデルを構築し,
Kinectセンサによって取得された各関節位置に人間モデルの関節位置を近似的に算出する方法論を提案する.具体的には,遺伝的アルゴリズム
(Genetic Algorithm;
GA)を用いることにより,計測された関節座標系列から,各動作の関節角度を推定する.次に,GAによって生成された関節角度を被験者の関節可動域として
階層型ニューラルネットワーク(Neural Network;
NN)を用いて学習を行う.ここでは,NNとGAを統合することによって関節角度を推定し,順運動学に基づき各関節位置を算出する.
視線計測システム
本研究ではタブレットPCに搭載されているカメラを用いた視線計測手法を提案し,安価で簡易に扱える視線計測システムの開発を目指します.視線方向の検出
手法には,進化的ロボットビジョンに基づき,遺伝的アルゴリズムを用いたテンプレートマッチングを適用しています.
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ロボットパートナーを利用した注意誘導に基づく無視領域の推定
本研究では半側空間無視患者の無視領域を注意誘導に基づき評価,改善することを目的とします.評価項目は空間と注意ネットワークで4つに分け,それぞれの
刺激について考察します.タブレットPC及びロボットパートナーを使用し課題を提示し無視領域の推定,遠位領域への注意誘導を行います.それに伴い三次元
距離センサを使用し,頭部・肩の姿勢計測を行う.また,健常者と数値を比較し,体性感覚のずれを検証しました.実験により健常者の値と比較した結果,左側
の視界に歪みが生じている可能性があることを結論づけました.
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