高温(極超音速)空気力学研究室

東京都立大学航空宇宙システム工学科に所属する私たちの研究室では、空気力学の分野における研究を展開しています。特に、高温の状態で発生するプラズマ現象とその空気力学的性質に注目し、宇宙探査機の熱空力設計や流れ星の光、さらには先端宇宙推進ロケットの技術など、宇宙と地球を結ぶ幅広いテーマを探求しています。
実験室では、実際の現象を再現する実験を通じて、これらの複雑な現象の理解を深めることに努めています。一方で、数値解析を駆使して、実験では捉えにくい詳細な現象の理論的解析も行っています。私たちの研究は、理学と工学が交差する領域にあり、宇宙探査の未来や新しいロケット技術の開発に貢献することをJAXAや海外、国内の大学と共同で目指しています。

HTG Lab at Department of Aero. Astro. TMU

This is the website of the High Temperature Gas Dynamics Lab at the Tokyo Metropolitan University's Department of Aerospace Systems Engineering. Our laboratory is dedicated to exploring the complexities of aerothermodynamics beyond Earth's atmosphere, contributing to the development of cutting-edge space technologies. Our research spans a broad array of topics, from the design of innovative rocket engines to understanding the extreme conditions encountered by spacecraft as they traverse interstellar space.
We delve into the mysteries of meteor paths and structures to unearth clues about the cosmos's origins, while also investing significant efforts into researching heat-resistant materials and propulsion systems for deep space exploration vehicles. Through our advanced studies, we aim to expand the horizons of future space exploration and push the boundaries of academic research.





News

Feb. 2024
マイクロ波ロケットに関する論文が Journal of Propulsion and Power にて掲載されました。

Dec. 2023
宇宙科学研究所で開催された宇宙航行の力学シンポジウムにおいて5名が口頭発表を行いました。

Oct. 2023
富山県富山市で開催された宇宙科学連合講演会において5名が口頭及びポスター発表を行いました

July 2023
Kurosaka (M1), and Shimamura(A/Prof) presented at 34th International Symposium on Shock Waves (ISSW34) in Daegu, Korea

June 2023
Kurosaka (M1) presented at 34th International Symposium on Space Technology and Science (ISTS) in Kurume, Japan
東京都渋谷区で開催された流体力学講演会にて2件発表しました。

March 2023
黒坂(B4)が東京都立大学航空宇宙学科優秀学生賞を受賞しました。

Dec. 2022
ワトソン㈱社による若手研究者向けインタビュー記事が note に掲載されました





Our Research

極超音速流れ(Hypersonic)の研究では流星がなぜ光るのかという単純な疑問から、深宇宙探査機「はやぶさ」が地球にサンプルを安全に持ち帰るための工学的課題に至るまで、理学と工学の境界を越えて大気中での物体の突入に伴う物理現象を解明することを目的としています。この研究は、風洞を使ったシミュレーションを行うグループ、流星に関する研究グループ、そして「はやぶさ」プロジェクトに関わるグループの3つに分かれて活動しています。

JAXA collaboration research: Hayabusa SRC aeroheating measurement.

木星や土星など将来のサンプルリターンミッションをデザインする上でのネックは、地球に安全にサンプルを持って帰るための帰還機(カプセル)を熱空力的に設計できるかが一つとされています。動画ではJAXAと協力して、秒速5kmのフライトと同程度の実環境を風洞で模擬し、模型に埋め込んだセンサー(熱電対)でカプセル前面背面の空力加熱を直接計測しています。

ペルセウス座流星群(2021/8)のスペクトル観測例

秒速15-72kmで地球大気に突入してくる流星や火球の研究は、惑星科学の観点でその材質や起源について研究がなされてきました。一方で空気力学の観点では、超高速での再突入であるため実験および数値解析にハードルが高く研究例が限られます。工学的に見れば木星や天王星やなどの大型天体で探査(例えばNASAガリレオで50km/s)の流れ場に相当し、比較的研究が進んでいない領域です。このような流星の空気力学を理解するために、風洞での試験や写真のような流星を直接分光器で計測するなどして研究を進めています。動画では流星の光をプリズムで分散することで、金属や空気の成分など様々な光が見ることができます。

ビーミング推進(マイクロ波ロケット)の推力生成試験

先端宇宙推進技術の1つとして、マイクロ波レーザーを使ったビーミングエネルギーロケット推進の研究を進めています。マイクロ波やレーザーを地上からロケットに照射し、推進機で”光学デトネーション”を発生させて連続的に推力を生成することができます。スクラムジェットエンジンやラムジェットエンジンのようにエアーブリージング(圧縮吸気)することで、搭載燃料を極限まで減らすことができ、従来の打ち上げロケットの1/100程度の低コストを実現できます。動画では600 kWのマイクロ波を使用して、燃料を一切使わずに推力を生成していることが確認できます(一瞬プラズマが光り、その後衝撃波が生成され、推力が生まれます)





Our Facilities

Research

Supersonic Wind tunnel 超音速風洞

東京都立大学にある超音速風洞は、マッハ1から3の範囲で速度を設定可能です。試験部は一辺150mmの正方形で、一度の実験で最大30秒間の試験が行える仕様となっています。直径250mmの凹面鏡とキセノンランプによるシュリーレンシステムが併設されており、衝撃波可視化を容易に行うことができます。



Research

Free-piston driven Expansion tube 極超音速風洞

極超音速風洞は、衝撃波管の一種である自由ピストン式二段隔膜衝撃波管、膨張波管と呼ばれます。地球周回軌道からの帰還速度(最大約8km/s)を再現できる性能を持っています。風洞の出口は44mm角の正方形で、高速度カメラや分光器を用いて物体表面の流れや温度を観測することができます。





Our Team

現在、スタッフ1名と修士4名、学部4年生4名の8名が在籍しています。

メンバー1の写真

Kohei Shimamura / 嶋村耕平 

Lab Director, Associate Professor, PhD (Univ. Tokyo)
Membership: JSASS (Japan Society for Aeronautical and Space Sciences), AIAA (American Institute of Aeronautics and Astronautics)





Publications

最新のpublicationについては Google Scholar から確認できます。





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shimamura(at)tmu.ac.jp