分野横断型プロジェクト
KADEN Project(2009~2019年度)の紹介

 

KADEN Projectとは

KADEN Projectは、「新しい家電の品の企画と設計を題材とした総合教育」です。 本プロジェクトは、製品設計のオープンイノベーションの基礎モデルとして、デザ インと機能発想を分野横断的に教育し、かつ極めて教育効果の大きい製品プロトタ イプの実装とその公開活動を行うことを目指し、正課の大学院プロジェクト演習とタイアップし、アイデアの実装から公開までを支援する正課外教育活動を実施するものです。
本プロジェクトは、2009年12月ー2010年3月に実施した「KADEN Project 2010(テー マ:2015 年を想定したデザインの提案)」のパイロット授業のプロセス部分を軸に、 その内容を拡大発展させたものです。 システムデザイン学部/学域のヒューマンメカトロニクス(HMS)学域(現在、機 械工学域)とインダストリアルアート(IA)学域の教員が協力し、学部3 年次から大学院修士1 年次までの両所属の学生を中心としてそれぞれの専門領域を活かした 恊働作業をPBL 形式で行っています。 システムデザイン研究科では多様な領域の研究が行われており、その中には新しいプロダクトを生み出すために有効なシーズが多く存在します。各研究室で行われている研究だけでなく、他の研究室の研究の知識や知財を活用した製品開発をすることにより、研究の「幅」や視点の「多角化」を進められます。研究領域をコラボ レートすることで、0 スタートではなく基礎研究が進んでいる状態からの技術のイノベーション開発を体験することが可能になります。 現在の「人間中心設計プロセス(ISO9241-210)」においても、多くの職種の人材が関与することが極めて重要とされています。本プロジェクトではイノベーションデ ザインの発想法を軸にしながら、デザイナーとエンジニアが恊働創造する過程の教育を行い、高度専門職業人としての素養の養成、そして起業を志向した活動を行うものです。
活動内容、本プロジェクトにおけるPBL (Project Based Learning)のメリットに関する特徴は次の通りです。

活動内容

 

■発想法と研究分野の融合エンジニア分野の学生にとっては自らの研究において、コンセプトとデザインの重要性が理解できる。IA の学生にとっては技術的アプローチの重要性を習得することができる。エンジニア分野とIA学域の特徴を結合した新しい発想を具現化する教育を行う。
■技術の理解と応用 プロトタイピング・実装によって具体的な製品も体験することにより、IA の学生にとっては技術との関係を深く理解するきっかけとなり、エンジニア分野の学生にとってはエンジニアとしての設計だけでなく、デザインの視点との調整能力を養い、新規の製品設計へ応用するため基礎的素養を身につけることができる。
■視覚成果物の知財管理の実践的理解として知財管理に関する講義も行い、企業などの支援によるビジネスモデルを指向したプ ロジェクト演習として実効性のある教育を行う。
 
以上3 点のポイントを意識しプロジェクトを展開することにより、研究成果から製品を発想するクリエイティブなプロセスを体験し、システムデザインの視点を身につけることを目指しています。

PBLプロセスの特徴

PBLプロセスの特徴
エンジニア分野とIA 学域、それぞれの専門領域を活かした協働作業をPBL 形式で行いました。PBLと実制作のメリットは下記の通りです。
■強みの発見
協同作業におけるグループディスカッションは自分の専門領域を活かしながら行われる。そこでは、他者に対して自分のポイントを提示/展開しながら進めることが要求される。そのためには自分の強みを自分自身が理解していることが求められる。本プロジェクトでは自分の研究領域のシーズプレゼンテーションにより、この問題にアプローチしている。
→シーズからの発想

■自分の足りない要素の発見
グループワークでは自分の足りない要素を積極的に他者の能力で補っていくことが重要となってくる。そのためには自分の特性だけではなく、他者の強みも理解していることが大切である。コミュニケーション能力の重要性とモノの見方や考え方を理解しあえる関係構築を目的としてチーム編成をディスカッションしながら決定した。
→問題の発見共有

■問題解決能力
制作上のさまざまな問題点を解決するには、知識だけではなく実践的な調整能力が要求される。場合に応じて、技術を応用したり新しく開発したりすることや、アイデアを実現するための能力が求められる。個人の能力だけでなく、チームに対する献身的な姿勢や態度によって、成果を上げるという組織力を意識した行動を意識した。
→プロトタイピング

教育プログラム

・エンジニア分野とデザイン分野の学生の混合チーム編成 ・スケッチやポストイットでの会議による意識共有
・プロトタイピングやダーティープロトによる開発モデル
・展示会などでの発表によるフィードバック
・知財化
・ムービープロトタイプ製作
・企業との連携モデル

アピールポイント

・学内の横断的な教育プロダクトから企業でのオープンイノベーションのための合同教育スタイル ・デザイン思考などの開発プロセスの体験、さまざまな専門性をもった学生との共同開発
・社内開発への応用:社内シーズの活用と新領域開発へ=次世代開発のための社内開発環境のための意識開発

各年度の活動成果

以下のリンクからご覧ください。
・2013年度
・2012年度
・2011年度
・2010年度
・2009年度

成果

・DCEXOPO2011~2019、毎年出展 ・KADEN Project2017のPAKUHAKOが日テレ「zip」に出演 ・文部科学省「情報ひろば」において展示とプレゼン(2018.8) ・商標登録「KADEN Project」「リマインダック」 ・学内競争傾斜経費獲得(2011・2012年度) ・教育改革推進事業(B1)獲得(2017・2018年度) ・共同研究契約6件 ・学生の就職支援

KADEN Projectの変遷

2009.12-2010.3 KADEN Project 始動
相野谷先生(現在、東京工科大学教員)と森先生(現在、本学客員教授)と、有志学生でプロジェクトを編成。 AutoDesk社のサポートによりスタート。
参加教員:森泰親教授、池井寧教授(現在、東京大学教授)、相野谷威雄助教。 
工学部系での開発とデザイン系の開発プロセスの違いを認識し、共通会話ができるプロセスの重要性を教育するしくみを検討しました。また、市場にあるものではなく、新しいものを開発するマインドと達成感は、従来の開発ではその重要性がわからないことが多いのが現状です。そのため、開発の積み重ねによる違いを考慮した、モデル図によりユーザー視点の開発を重視することを目指しました。このプロジェクトをきっかけに大学院研究プロジェクト演習(PBL)として実施することとなりました。
 
2011.4-2013.3 大学院研究プロジェクト演習(PBL)として開始
学内競争傾斜経費獲得(代表 池井寧)
参加教員:森泰親、池井寧、相野谷威雄、笠松慶子、金石振
ここでの成果が評価され、以後、企業等との共同研究、大学院研究プロジェクト演習および正課外教育活動としての展示発表を実施しました。
2013.4-2014.3 (株)ミサワホーム総合研究所
2014.4-2015.3 公益財団法人 東京動物園協会 恩賜上野動物園
2015.4-2017.3 富士通デザイン株式会社
2017.4-2019.3 コニカミノルタ株式会社
学内教育改革推進事業獲得(代表 笠松慶子):2020年度学内グッドプラクティス獲得
2019.4-2020.3 コニカミノルタ株式会社