・ドップラー風ライダーに関する研究(図1)

全球規模で気象データが取得できる衛星観測の重要性はさらに増していますが、現在の衛星観測は温度や水蒸気に関連した観測が多くなっています。天気予報や台風予測の精度向上のために、地球全体で風の高度分布を望まれています。宇宙から風の高度分布が得られる衛星搭載ドップラー風ライダーの実現を目指して光源、光検出技術、信号処理技術、データ解析アルゴリズム等の開発を行っています。また、衛星シミュレーターを使って、宇宙からの観測性能や天気予報への効果について研究を行っています。

 

図1 航空機搭載ドップラー風ライダーの風計測実証実験

・新しい光リモートセンシング技術のための研究(図2)

人為起源の温室効果ガスのうち、温暖化に最も大きな影響を与えている二酸化炭素の増加は、化石燃料の消費や森林伐採によるCO2の大気中への放出が、陸域生態系や海洋での吸収を上回っているからです。地球温暖化は雲生成や消滅あるいは降水過程にも深い関わり、集中豪雨による洪水、干ばつ、台風の大型化等のように、地域スケールから地球規模までその影響は計り知れません。温室効果ガスの空間的・時間的変動を知ることはとても大切ですが十分に理解されているとは言い難い状況です。私たちの研究室では、ドップラー風ライダーの技術を応用して、遠隔から温室効果ガス濃度を計測できる光センシング技術の研究を行っています。

 

図2 温室効果ガス濃度を計測用差分吸収ライダーの開発

・光リモートセンシングによる観測的研究(図3)

大きさが0.3-数μmのエアロゾルと呼ばれる大気微小粒子は大気中に存在しています。このエアロゾルは、砂漠や海から自然界から、あるいは人間活動用によってと様々な場所から発生しています。エアロゾルは、それ自身の光学的な特性によって太陽光を散乱・吸収し、大気中の放射収支に直接的に影響を与えます。また、水分を吸って雲の凝結核の役割も果たすことから、雲の発生を通して大気中の放射収支に間接的に影響を与えています。さらに、エアロゾル表面では化学反応がしばしば起こるので、大気化学変化において重要な役割を演じています。エアロゾルは非常に小さいことから吸い込むことで肺から体内に取り込まれることで健康被害についても懸念されています。私たちの研究室では、様々な役割を演じているエアロゾルを遠隔光計測技術を用いた観測的研究を行っています。

図3 地上設置型ライダーによる大気微粒子の観測