C&DH系



C&DH(Command and Data handling)は人工衛星内部の状態を表すデータ(House Keepingデータ)の集中制御および監視,また地上局とのデータの授受を担当するサブシステムです.各サブシステムに指令を送って衛星全体の動作モードを移行させる,いわば「司令塔」と呼べる存在です.具体的には下記のような機能を持ちます.

  • 地上からの命令信号の解読およびそれに応じた処理

  • HKデータの収集,記録および監視

  • ミッションデータの収集,記録

  • テレメトリデータの作成

ORBISにおけるC&DHでは,各系共通の基板の作成や,プログラムの作成を主な役割としています.OBRISのコンセプトである「理学的挑戦の担い手」に則り,様々なミッションへの対応が可能な柔軟な衛星バスを開発します.超小型衛星のオープンモジュラー化を目指したこの衛星バスを「汎用バス」と名付け,低コスト・短期開発という超小型衛星の長所をより伸ばすことで,理学者の超小型衛星利用を促進します.さらに,人為的な不具合の排除や,衛星バスの耐故障性を意識した設計をし,柔軟な運用を実現することを目標としています.

ORBISは単なるバス型アーキテクチャではありません.全体を統合する中枢機能を持たず,自律的に行動する各要素の相互作用によって全体として機能する分散型アーキテクチャです.


共通基板


このアーキテクチャはデータのみを管理する共有系を用いることによって実現します.サブシステムはCANバスと呼ばれる通信ラインを経由して共有系にデータを書き込み,また読み込みを行い,共有系のデータから行動を決定します.つまり共有系は衛星の「掲示板」のような存在なのです.また,サブシステムは共有系とだけ一対一対応することによって独立した開発につながります.



共有系


さらに,共有系と各サブシステムは仕様の同じ共通基板を持ちます.共有系から得られるデータは,最初に各々のサブシステムが持つ共通基板を介します.各系が共通した基板を用いることで開発におけるコストの削減や,汎用化の実現が期待できます.必要に応じて各系は下に別の基板や機器を取付けます.将来ORBISシリーズで新たに仕様変更を加えたい場合は,そのサブシステムのみ変更すれば良いので開発の負担を大幅に減らすことができます.



仕様変更