ゲリラ豪雨をとらえる

フェーズドアレイレーダに関する研究

 近年、竜巻やゲリラ豪雨をはじめとするシビア現象(豪雨,竜巻,突風など)が問題になっています。これらの現象は局所的かつ短時間で発達する積乱雲によって引き起こされるため、従来の気象レーダを用いての観測は大変難しいものでした。また、シビア現象は気象災害に直結することから、その観測は減災・防災の点で非常に重要な研究テーマです。

 雨は上空の雲内で生成されて地上に降ってくるために、その前兆現象をとらえるためには雨雲の立体観測を行う必要があります。従来の気象レーダでもボリュームスキャンと呼ばれる雨雲の立体観測は行われていましたが、1ボリュームスキャンあたり5分もの時間がかかってしまい、ゲリラ豪雨のような短時間で発生する気象現象を観測することができませんでした。

 本研究グループは、仰角方向に電子走査を行う1次元フェーズドアレイレーダの研究開発を行い、1ボリュームスキャンあたり最速10秒(定常運用では30秒)という高い時間分解能(観測頻度)を実現しました。今後はこのフェーズドアレイレーダで得られたデータの解析や、計測精度向上に関する研究を行っていきます。

 

これまでにない高分解能レーダの開発

広帯域レーダに関する研究

 現在業務用に観測を行っている気象レーダは時間分解能が10分程度,空間分解能が数百メートルで観測できる能力を持っています。しかし、集中豪雨や、竜巻といった気象災害に直結する気象現象は時間的・空間的に、極めて小さいスケールの現象であるため検出が難しく、その詳細な構造や予兆現象について議論なされていませんでした.

 本研究グループは、送信信号に広帯域信号を用い、パルス圧縮を行うことにより、時間分解能(1min)、距離分解能(数m)共に優れた広帯域レーダを開発しています。将来的には複数のレーダを配置し、ネットワーク化することにより、より広範囲での詳細な情報を得ることを目的としています。

高精度かつ高頻度な降雨観測を目指す

GPM DPRに関する研究

 近年人工衛星による降雨観測の精度が上がり、研究目的だけでなく、天気予報や洪水予報などより人々の生活に身近な分野に人工衛星の観測データを利用しようという動きが出てきました。しかし、人工衛星が地球を一周するためには90分(高度400kmを飛行する場合。高度が上がると一周にかかる時間も増える。) もかかってしまいます。すなわち、ある地点(東京など)を観測したくても、90分ごと(人工衛星の軌道によってはそれ以上)しか観測できないのです。そこで日本と米国が中心となり、世界各国の降水観測衛星が協力し合い、地球上のあらゆる雨雲を高精度かつ高頻度に観測しようとしているのが、GPM(Global Precipitation Measurement,全球降水観測)計画です。

 本研究グループでは、GPM計画に参加する衛星によって観測されたデータを用いて、地上レーダ(フェーズドアレイレーダ等)との比較から、DPR(Dual-Frequency Precipitation Radar)の観測精度の検証や、地上レーダの較正アルゴリズムの開発を行っています。

 

 

<<GPMについて詳しく知りたい方はこちら(JAXAサイト)>>

 

全球の降雨をとらえる

人工衛星による地球環境計測技術に関する研究

 降水量は農業・工業等人間活動に利用できる水資源、洪水対策等の防災等に様々な利点があります。先進国を中心に地上の降雨観測網は整備されていますが、降雨の多い熱帯域・アフリカ等多くの地域では十分な観測点がありません。そこでJAXAはGPM全球降水マップ(GSMaP)を開発しています。GSMaP はTRMM/PR・GPM/DPRなどのレーダによる観測と多数の衛星に搭載されたマイクロ波放射計で観測された輝度温度データを組み合わせ、全球の降水をリアルタイムに把握することを目指しています。

本研究グループではJAXAとGSMaP の共同研究として、高精度なGSMaP アルゴリズムとしてひまわりに代表される静止衛星の赤外データを利用・衛星観測と地上観測の組み合わせるアルゴリズム開発、また、地上データを用いたGSMaP の降雨の検証等を行っています。

 

 

<<GSMaPはこちらからご覧ください>>

宇宙ステーションから雷を観測

JEM-GLIMS MISSIONに関する研究

 これまで気象現象は高度10km以下の対流圏でしか発生しないと考えられていましたが、1989年に初めて高度20kmから100kmの雷雲の上で高高度発光現象が観測されました。高高度発光現象は、厚い雷雲に遮られ地上からでは観測することができないため、JEM-GLIMS MISSIONでは国際宇宙ステーション(ISS)日本実験棟「きぼう(JEM)」の船外実験プラットフォームに搭載された観測装置で高高度発光現象を観測します。本研究室、牛尾教授はJEM-GLIMSのPI(Principal Investigator,主任研究員)を務めています。JEM-GLIMSは2012年7月21に種子島宇宙センターからH-IIBロケットで打ち上げられ、2012年から2年間の軌道上観測を行いました。現在は軌道上観測を終了し、本研究グループは観測データの解析等を行っています。本研究はJAXA、北海道大学、極地研究所、電気通信大学、近畿大学等多数の研究機関との共同研究です。

 

<<JEM-GLIMSについて詳しく知りたい方はこちら(JEM-GLIMS公式サイト)>>

地球環境のリモートセンシングは,宇宙通信と並んで我々の生活に密接に関わっている宇宙利用技術です。特に,電磁波を用いたレーダリモートセンシングはリモートセンシング技術の代表格と言っても良いです。

近年世界中で、ゲリラ豪雨、大雨に伴う洪水や土砂崩れ、台風・ハリケーン・竜巻などによる気象災害に大きな関心が寄せられています。また地球温暖化の進行にともない、このような気象現象はさらに被害を増すと予想されています。

 

私たち首都大学東京リモートセンシング研究室では、このような気象現象を迅速かつ詳細に観測するレーダの研究開発およびデータ解析を行っています。

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主な研究テーマ
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