金子研究室

Research work


【トランスファプリントを応用したMEMS作製】
 トランスファプリントはスタンプを用いて薄膜やナノ材料を基板に転写する加工技術であり,従来は電極などの2次元パターン形成に用いられてきた.当研究室では加工基板にトランスファプリントを行うことで,薄膜の立体構造(機械要素)を形成することに成功した.下の写真は厚さが僅か70nmのAu薄膜で作製した両もち梁構造である.トランスファプリントは大気環境下で実施可能であり,表面処理技術を組み合わせることで幅広い基板材料に対応できる.したがって,トランスファプリントを応用すれば,柔軟な高分子材料に機械要素を有するMEMS(マイクロセンサー等)が簡易に作製できる.
Kaneko, IJAT, (2015)



【細胞へ機械的刺激を与えるマイクロツール】

 細胞は物理的,化学的,そして機械的な刺激によって様々な機能を発現する.そのような細胞への刺激を与えるツールは培養チャンバーや接着足場全体を駆動させるものが多く,細胞の集合体が対象となるものが多い.また,細胞培養システムはその性質上,安価に製作できる使い捨て可能なものが望ましい.そこで当研究室では,イオンの吸収・脱離によって膨張・収縮する導電性ポリマーを利用し,同ポリマーをマイクロパターン化することで単一細胞へ機械的刺激を付与するマイクロツールの作製を試みている.

Mashiko, Mecatoronics, (2014)



【微粒子列を利用した細胞の自律パターニング】

 先進医療や創薬スクリーニングにおいて,薬剤などに対する細胞レベルの反応が調査されている.生体外で培養した細胞を取り扱うためには,所定の領域に細胞を配置に対することが望まれる.光ピンセットなどの細胞のピックアンドプレース技術は高精度な細胞配置が可能だが,一方でスループットが低いために大量の細胞操作は困難である.幾何形状や化学材料をパターニングした微細構造化足場を用いると,播種した細胞が自律的にパターニングすることが知られている.

 パターン基板と移流集積法を併用することで,直径数μm(以下)の微粒子を所定の位置に配列させることができる.当研究室では自己整列した微粒子の表面アスペリティを利用し,細胞の選択接着(自律パターニング)を試みている.この表面創成法は半導体プロセス等に比べて簡易で,かつSAM等による表面修飾が可能である.

Sugiara, JSMME, (2013)

Takeda, Mater. Sci. Eng. C, (2015)



【研究キーワード】

ナノ・マイクロ構造,表面,MEMS,微粒子,トランスファプリント,バイオ,細胞,自己組織化,

自己整列,表面テクスチャ,濡れ性,導電性ポリマー,センサー,精密工学